「VTuberに興味はあるけれど、これが社会参加や自立のための訓練になるの?」
「ゲーム配信や動画づくりは、ただの趣味ではないの?」
そんな疑問を持つ方もいるかもしれません。
結論からいえば、VTuber活動そのものが自動的に「自立訓練」になるわけではありません。
しかし、VTuber活動には、企画を考える、パソコンを操作する、人に伝える、予定を立てる、制作を続けるなど、さまざまな工程があります。
こうした活動を、その人の目標や課題に合わせて取り入れることで、自立した生活や社会参加に向けたトレーニングの一つとして活用することができます。
そもそも「自立訓練(生活訓練)」とは?
自立訓練(生活訓練)は、障害や精神疾患などによって生活に難しさを感じている方が、地域で自分らしく生活していくために必要な力を身につけていく障害福祉サービスです。
「自立」と聞くと、料理や掃除、金銭管理などをイメージするかもしれません。
もちろん、こうした日常生活のスキルも大切です。
しかし、自立した生活に必要なのはそれだけではありません。
決まった時間に起きて活動すること、人とコミュニケーションを取ること、自分の得意・不得意を知ること、困ったときに誰かに相談すること、社会との接点を持つことなども、生活していくうえで重要な力です。
そのため、訓練の内容も一人ひとりの状態や目標によって変わります。
なぜVTuber活動が自立訓練につながるの?
VTuber活動というと、キャラクターになってライブ配信をする姿を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし実際には、配信ボタンを押すまでにもたくさんの工程があります。
たとえば、
「どんな配信をするか、しゃべる内容を考える」
「必要な素材を準備する、そのために第三者に依頼する」
「サムネイルを作る」
「決めた時間までに準備し、実際に定刻に配信を始める」
といった作業があります。
動画を投稿する場合には、撮影や録音、動画編集、タイトルや説明文の作成なども必要です。
つまりVTuber活動は、複数の作業を組み合わせ、人と関わりながら、一つの作品や活動を完成させる創作活動でもあるのです。
VTuber活動で身につけられる5つの力
1.生活リズムやスケジュール管理
「○時から作業や配信をする」
「今日はここまで進めて、次の企画までに準備を終える」
と予定を立てて活動することは、生活リズムを整える練習になります。
最初から毎日活動する必要はありません。
週に1回、短時間から始めるなど、自分の体調に合わせて「無理なく継続できるペース」を探すことも大切な訓練です。
2.パソコンやデジタル機器を扱う力
VTuber活動では、パソコン操作をはじめ、画像制作、動画編集、音声収録、配信ソフトなど、さまざまなデジタルツールに触れる機会があります。
好きなことを入口にすることで、「パソコンは苦手」と感じていた方でも、目的を持って少しずつ操作を覚えられる可能性があります。
3.コミュニケーション能力
配信だけがコミュニケーションではありません。
「自分がやりたいことをスタッフに説明する」
「分からないことを質問する」
「作品について感想をもらう」
「相手に伝わりやすい表現を考える」
といった場面も立派なコミュニケーションです。
人前で話すことが苦手な場合には、動画制作や画像制作など、配信とは異なり直接的な会話が少ない活動から始める方法もあります。
4.企画力・問題解決力
「どんな内容なら伝わりやすいだろう?」
「思ったような動画にならない。どう直そう?」
制作をしていると、小さな課題がたくさん出てきます。
自分で考えたり、スタッフに相談したりしながら一つずつ解決していく経験は、日常生活で困ったことが起きたときの問題解決にもつながります。
5.自分の得意・苦手を知る力
実際に活動してみると、
「人前で話すより、黙々と取り組める動画編集のほうが好き」
「絵を描いたり、3Dモデル制作のことなら長時間集中できる」
「予定を詰めすぎると疲れてしまい、結局終わった後に休んでしまう」
「大人数でワイワイするのは、やっぱりしんどいかも」
など、自分について新しい発見が生まれることがあります。
こうした自己理解を深めることも、自立訓練の大切な目的の一つです。
VTuberになることだけがゴールではありません
ここで大切なのは、必ずしも「プロのVTuberになること」や「チャンネル登録者を増やすこと」が目的ではないという点です。
リアルタイムでの配信が苦手なら、無理に配信する必要はありません。
イラストが好きならキャラクターを描く。
動画編集が好きなら動画を作る。
デザインに興味があればサムネイルを制作する。
VTuberという一つのテーマから、さまざまな活動へ広げることができます。
大切なのは数字や人気を競うことではなく、「好きだからやってみたい」という気持ちを、生活や社会との接点につなげていくことです。
「好きなこと」だからこそ、一歩を踏み出せることもある
体調を崩したり、長期間家にいる生活が続いたりすると、「訓練をしましょう」と言われても、なかなか意欲が湧かないことがあります。
そんなとき、自分の好きなゲームやイラスト、動画、VTuberなどが入口になれば、「少しやってみたい」「これなら事業所に行ってみようかな」と思えるかもしれません。
福祉の訓練だからといって、すべてが苦手なことを克服するための活動である必要はありません。
得意なことや好きなことを活かしながら、できることをいつの間にか増やしていく方法もあります。
ほっとナビチャレンジの「デジタル創作プログラム」
大阪府天王寺区の自立訓練(生活訓練)事業所「ほっとナビチャレンジ」では、VTuberプログラムを含む「デジタル創作プログラム」に取り組んでいます。
VTuber活動をはじめ、イラストやデザイン、動画制作などのデジタル創作を通じて、パソコンスキルだけでなく、スケジュール管理、コミュニケーション、自己理解、作品を完成させる経験など、一人ひとりの目標に合わせた力を身につけていきます。
詳しくは以下のリンクより、「デジタル創作プログラム」の紹介ページをご覧ください。
「VTuberに興味がある」
「絵を描くことが好き」
「動画を作ってみたい」
「パソコンを使った活動なら挑戦できそう」。
そんな興味も、自立への最初の一歩になるかもしれません。
ほっとナビチャレンジでは、「好きなこと」「やってみたいこと」を入口に、その人らしい生活や社会参加につながる方法を一緒に考えていきます。
