「なぜか同じ場面で疲れてしまう」
「できる日と、できない日の差が大きい」
「つらくなったとき、どうすればよいか分からない」

このような悩みが続くと、「自分の努力が足りないのでは」と責めてしまうことがあります。
しかし、必要なのは無理に苦手を克服することではなく、自分の特性や体調の傾向を知り、状況に合った対処法を用意することかもしれません。

そこで役立つのが、自分の取扱説明書と「コーピングリスト」です。

自分の取扱説明書とは?

自分の取扱説明書とは、得意なことや苦手なこと、調子を崩しやすい状況、必要な配慮などを整理したものです。

決まった書式はありません。
お気に入りのノートや手帳、スマートフォンのメモなど、自分が使いやすい方法で作ってみてください。

例えば、次のような内容を書き出します。

  • 静かな場所では集中しやすい
  • 急な予定変更があると混乱しやすい
  • 疲れていても自分では気づきにくい
  • 大人数での会話では話すタイミングが分からない
  • 口頭より文章で説明してもらうほうが理解しやすい
  • 調子が悪いときは一人で落ち着く時間が必要

これは欠点の一覧ではありません。
自分が力を発揮しやすい条件や、安心して生活するために必要な工夫を確認するものです。

コーピングリストとは?

コーピングとは、ストレスや不安、つらい気持ちに対処するための行動や考え方を指します。
それらを事前にまとめたものが「コーピングリスト」です。

強いストレスを感じている最中は、「何をすれば少し楽になるか」を考える余裕がなくなることがあります。
元気なときに複数の対処法を用意しておけば、そのときの体調や状況に合った方法を選びやすくなります。

例えば、次のような方法があります。

  • 温かい飲み物を飲む
  • 好きな音楽を一曲聴く
  • 深呼吸して肩の力を抜く
  • 静かな場所へ移動する
  • 予定を一つ減らす
  • 感じていることを紙に書き出す
  • 好きな香りや肌触りのよいものに触れる
  • 家族や支援者へ「少し話を聞いてほしい」と伝える
  • 早めに休む
  • 必要に応じて医療機関や支援機関へ相談する

大がかりな気分転換だけでなく、数分でできる方法や、お金をかけずにできる方法も入れておくのがポイントです。

取扱説明書とコーピングリストを組み合わせる

自分の取扱説明書で「何が負担になりやすいか」を把握し、コーピングリストで「そのとき何をするか」を決めておくと、より実践的になります。

例えば、次のように組み合わせます。

「人の多い場所では音や会話に疲れやすい」
→イヤホンを使う、短時間で切り上げる、帰宅後に一人で休む

「急な予定変更があると混乱しやすい」
→変更内容を紙に書く、優先順位を確認する、返事をする前に少し時間をもらう

「疲れていても気づきにくい」
→決まった時間に休憩する、睡眠や体調を記録する、予定を詰め込みすぎない

このように「苦手」で終わらせず、具体的な対処法までセットにすることで、日常生活で活用しやすくなります。

一度で完成させなくても大丈夫

取扱説明書もコーピングリストも、一度で完成させる必要はありません。
実際に試して役立った方法には印を付け、合わなかったものは変更していきましょう。

また、「まず自分が何に困っていて、どうしてこんなにもしんどいのかが分からない」「自分の状態や悩みを言葉にできない」ということもあります。
その場合は、ご家族や支援者の方と一緒に日々の出来事を振り返ることで、自分では気づかなかった傾向が見つかるかもしれません。

自立訓練で自分に合った生活方法を見つける

ほっとナビチャレンジは、生活リズムや体調を整えながら、将来の就職や社会参加に向けた準備ができる大阪・天王寺の自立訓練(生活訓練)の事業所です。

日々の活動やさまざまなプログラムを通して、自分の得意・苦手、疲れやすい場面、安心して取り組める方法などを支援者と一緒に整理できます。
「すぐに働く自信がない」「まずは外出や人との関わりに慣れたい」という方も、自分のペースで準備を始められます。

自宅で心身の状態について相談したい方へ

ほっとナビ訪問看護ステーションは、大阪・奈良・東京を中心に、精神科・心療内科に特化した訪問看護を提供しています。

看護師などの専門職が自宅を訪問し、心身の状態や服薬、生活上の困り事について相談をお受けします。
外出に不安がある方や、住み慣れた自宅で支援を受けたい方にも利用していただけます。

自分を理解することは、自分を決めつけることではありません。
取扱説明書とコーピングリストを少しずつ作りながら、自分らしく、無理なく過ごせる方法を探してみてはいかがでしょうか。