「ゲームをやめたいのに、気づいたら朝までやってしまう」
「お酒を控えたいのに、ついつい飲んでしまう」
「SNSや買い物がやめられない。生活リズムや金銭感覚が崩れている」
こうした“やめたいのにやめられない”状態は、本人の意思が弱いから起こるとは限りません。
特にASD(自閉スペクトラム症)の特性がある方の場合、不安の強さや感覚過敏、予定変更の苦手さ、対人関係の疲れなどが背景にあることもあります。
今回のコラムでは、ASDの方が陥りやすい依存症について、精神科訪問看護・自立訓練の視点でお話いたします。
ASDの方が依存症になりやすいって本当?
ASDと依存症って、関係あるんですか?ちょっと意外です
ASDの方が必ず依存症になる、という意味ではありません。
ただ、ご本人の中で”安心しやすい行動”に頼りやすくなってしまい、結果として依存症になることはあります。
ASDの特性がある方は、見通しが立たない状況や急な予定変更、人とのやり取りに強いストレスを感じることがあります。
そんな時に、ゲーム、動画、SNS、飲酒、買い物、ギャンブルなどが、一時的に不安を和らげる手段になることがあります。
最初は「気分転換」だったものが、いつの間にか「それがないと落ち着かない」状態になり、生活に影響が出てくる。
これが依存症や依存傾向につながることがあります。
依存症は「好きでやっている」だけではない
でも、好きでやってるなら止めにくいですよね……
そうですね。
でも、依存症の場合は“楽しいからやっている”だけではなく、 “つらさを紛らわせるためにやっている”ことも多いんです。
依存症というと、アルコール依存症やギャンブル依存症を思い浮かべる方が多いかもしれません。
最近では、ゲーム依存やネット依存、買い物依存なども生活上の困りごととして相談されることがあります。
ASDの特性がある方の場合、依存行動の背景には、次のような困りごとが隠れている場合があります。
- 人付き合いで強く疲れてしまう
- 不安や緊張をうまく言葉にできない
- 予定変更があると混乱しやすい
- 感覚過敏で外出や通所が負担になる
- 生活リズムが崩れやすい
- 暇な時間の過ごし方が分からない
つまり、「お酒をやめましょう」「ゲームを減らしましょう」と言うだけでは、根本的な支援にならないことがあります。
まずは、ご本人にとってストレスになっていることを把握し、そのストレスを出来る限り軽減することが大切です。
精神科訪問看護でできること
精神科訪問看護では、依存行動だけを見るのではなく、生活全体を一緒に確認していきます。
たとえば、“いつゲーム時間が増えるのか”を一緒に見ていくと、 実は前日に対人ストレスがあった、眠れなかった、予定が急に変わった、ということが分かることもあります
なるほど。行動だけじゃなくて、前後の流れを見るんですね
訪問看護では、ご自宅での生活状況を確認しながら、睡眠、食事、服薬、対人関係、不安の強さなどを整理していきます。
そのうえで、本人に合った対処法を一緒に考えます。
たとえば、ゲーム時間をいきなりゼロにするのではなく、「寝る1時間前は別の行動にする」「タイマーを使う」「易怒性の高い対人ゲームはしない」「都度課金のあるゲームではなく買い切りで遊べるものにする」「課金額を家計簿につけて可視化する」など、具体的でご本人が実行しやすく、長く続けやすい方法から始めることがあります。
また、ASDの特性がある方には、あいまいな声かけよりも、可視化されたルールやスケジュールの方が合う場合があります。
自立訓練では「依存以外の選択肢」を増やしていく
自立訓練、生活訓練では、依存行動を責めるのではなく、生活の中に別の選択肢を増やしていく支援を行います。
やめて0にするより、他にできることや選択肢を増やす感じですか?
そうです。
依存しているものを取り上げるだけだと、本人にとって安心材料がなくなってしまうこともあります。
自立訓練では、生活リズムを整える練習、日中活動、コミュニケーション練習、金銭管理、ストレス対処、外出練習などを行います。
たとえば、昼夜逆転してゲーム時間が増えている方であれば、まずは週1回の通所から始めます。
人との関わりが苦手な方であれば、少人数の活動から参加してみることをお勧めしたりります。
買い物が止まらない方であれば、予算を決める練習や、購入前に一度誰かに相談する仕組みを作ります。
小さな成功体験を積み重ねることで、「これ以外にも安心できる方法がある」と感じられるようになることが大切です。
ASDと依存症の支援で大切なのは、責めないこと
依存症や依存傾向があると、本人も周囲も「またやってしまった」と落ち込みやすくなります。
しかし、責めるだけでは状況が悪化してしまうこともあります。
大切なのは、「なぜその行動が必要だったのか」を一緒に考えることです。
依存行動は、その人が人生において何か困りごとがあることのサインでもあります。
“何に困っているのか”を一緒に探すことが支援の第一歩です。
ASDと依存症の関係は、一人ひとり違います。
だからこそ、ご本人の特性や生活環境に合わせた、一人ひとり違う支援が必要です。
まとめ|ASDと依存症は、生活全体から考えることが大切
ASDの特性がある方にとって、依存行動は単なる「悪い習慣」ではなく、不安やストレスを和らげるための手段になっていることがあります。
精神科訪問看護では、ご自宅での生活を見ながら、依存行動の背景や生活リズムを一緒に整理します。
自立訓練では、日中活動や生活練習を通して、依存以外の安心できる過ごし方を増やしていきます。
「やめたいのにやめられない」 「生活リズムが崩れて困っている」 「家族だけではどう支えたらいいか分からない」
そんな時は、一人で抱え込まず、精神科訪問看護や自立訓練の利用を検討してみてください。
本人の特性を理解しながら、無理のないペースで生活を整えていくことが、回復への大切な一歩になります。
自立訓練事業所「ほっとナビチャレンジ」とは
精神科訪問看護の視点を活かした自立訓練事業所です
ほっとナビチャレンジは、精神科訪問看護ステーションを母体として生まれた自立訓練事業所です。
精神科訪問看護で多くの方の地域生活を支えてきた経験を活かし、生活リズムの安定、人との関わり、社会参加、将来の進路について、一人ひとりに合わせたサポートを行っています。
こんなお悩みはありませんか?
ほっとナビチャレンジでは、次のようなお悩みを持つ方のご相談を受け付けています。
- 生活リズムを整えたい
- 外に出る習慣をつけたい
- 人と関わる練習をしたい
- 将来の働き方について考えたい
- すぐに就職するのは不安
- 自分に合った福祉サービスを知りたい
- 通所できるか不安なので、少しずつ始めたい
「何から始めればいいかわからない」という段階でも大丈夫です。
ほっとナビチャレンジで大切にしていること
ほっとナビチャレンジでは、「できないこと」だけを見るのではなく、今できていることや、ご本人の中にある小さな希望を大切にしています。
体調や気分の波がある方も、無理のないペースで利用できるように支援します。
また、必要に応じて訪問看護、医療機関、相談支援事業所などとも連携しながら、地域で安心して生活を続けられるようサポートします。
自立訓練から、その後の進路まで一緒に考えます
自立訓練は、利用して終わりではありません。
その後の進路として、就労移行支援、就労継続支援、一般就労、復職、進学、生活の安定など、さまざまな選択肢があります。
ほっとナビチャレンジでは、ご本人の希望や体調に合わせて、次の一歩を一緒に考えていきます。
自立訓練の利用を検討されている方へ
自立訓練は、自分らしい生活に向けて準備をしていくための場所です。
「今の生活を少し整えたい」
「将来のことを一人で考えるのが不安」
「働く前に、まずは生活の土台を作りたい」
そう感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
ほっとナビチャレンジでは、一人ひとりの状態や目標に合わせて、無理のないペースで次の一歩をサポートします。
詳しくは上記画像から「ほっとナビチャレンジ」のホームページをご覧いただくか、お問い合わせフォームより無料のご見学・相談会をご検討下さい。
LINEでもお問い合わせが可能ですので、是非「こんなことも聞いていいのかな」といった小さなお悩みごとから、「自立に向けて歩み出したい」という希望までお聞かせくださると幸いです。
