2025年現在、書店に行けば「大人の発達障害」といったタイトルの本が目に入ったり、テレビやSNS、インターネットの記事や動画でも取り上げられていることが多く、「もしかして自分も発達障害かもしれない」そう感じることもあるかもしれません。
多くの人がもしそうなら、と考えたときに最初にぶつかるのが「検査を受けるまでのハードル」なのではないでしょうか。
なぜハードルを感じるのか
発達障害は子どもに限らず、大人になってから気づくケースも珍しくありません。
しかし実際に検査・診断につなげるまでには、いくつかの心理的・社会的な壁があります。
- 偏見(スティグマ)への不安:「診断を受けたら周囲からどう見られるだろう」という心配。
- 受診先の探しにくさ:発達障害を専門に扱う医療機関は限られており、予約待ちが長いこともあります。
- 検査内容の不透明さ:「どんなことを聞かれるのか」「痛くないのか」など、情報が少なく不安になりやすい。
心理検査の流れ
大人の発達障害を調べる際には、通常いくつかの心理検査が行われます。代表的なものは以下のようなものです。
- 質問紙(アンケート形式):日常生活の困りごとや特性を自己申告する。
- 知能検査:得意・不得意のパターンを把握する。
- 面接:幼少期からの生活歴を丁寧に聞き取り、総合的に判断する。
検査自体にリスクや痛みはありません。むしろ「自分をより客観的に理解するための機会」と捉えることができます。
診断がゴールではない
発達障害の診断は、決して「烙印」ではありません。
自分の特性を理解し、生活や仕事での工夫につなげる「スタートライン」です。
たとえば、時間管理が苦手な方はアラームやタスク管理ツールを活用したり、対人関係に苦手さを感じる方はサポートのある場を選んだり。
発達障害であっても、そうでなかったとしても診断をきっかけに、自分に合った工夫や支援に出会うことができます。
おわりに
もし検査までのハードルを高く感じているなら、まずは信頼できる人や支援者に「不安に思っていること」を話すだけでも前進です。
私たち精神科訪問看護ステーションでも、必要に応じて医療機関や支援先へのつなぎをサポートしています。
「気になるけれど動けない」——そんなときは、一人で抱え込まず、まずは小さな一歩から始めてみませんか。
